映画「ミーツ・ザ・ワールド」の試写を観て
映画「ミーツ・ザ・ワールド」の試写を観てきました。
金原ひとみさんの物語を、松居大悟監督が見事に映像化していて、とてもよかったです。
主人公・由嘉里を演じる杉咲花さん。挙動や喋り方、熱量まで“腐女子感”を完璧に表現していて圧巻でした。まさにオタクそのもの。
南琴奈さん演じるライも素晴らしかった。美しさと強さをまといつつ、どこか濁った透明感があり、今にも消えてしまいそうな儚さを抱えている。彼女の存在そのものが印象に残ります。ドラマ「僕達はまだその星の校則を知らない」で知ったのですが、あとで「アリスさんちの囲炉裏端」の晴海の幼馴染の親友の子だと気付いて驚きました。女子高生から歌舞伎町のキャバ嬢まで演じきるなんて、本当にすごい。
アサヒ役の板垣李光人さんもよかったです。ホストという職業のリアルさはさておき、チャラくて明るくて優しくて、主人公・由嘉里(杉咲花)の推し漫画「ミート・イズ・マイン」の布教に楽しそうに付き合っていく姿が最高。ご自身もオタクと公言されているので、由嘉里(杉咲花)とのやり取りが自然で、二人の掛け合いは見ていてとても楽しかったです。
オシン(渋川清彦)やユキ(蒼井優)と一緒に過ごすシーンも心地よく、令和ロマン・くるまさんのちょっとウザい感じも良いアクセント。腐女子、キャバ嬢、ホスト、作家、バーのマスター…といった多様な人たちが年齢や性別、偏見なく超えてつながっていく関係性がとても好きでした。歌舞伎町という街の雑多さや懐の深さがしっかり映し出されていて、新宿の懐の深さが東京っぽくて良かったです。
雨上がりのアスファルト、部屋で楽しそうに過ごすシーンなど、長回しで映し出される時間に引き込まれてしまう。役者の表情や空気感にただ見入ってしまいました。特に由嘉里(杉咲花)の電話シーンは圧巻で、心に強く残ります。
登場人物たちの悩みや苦しみはすべてが解消されるわけではなく、その残り続ける感覚がリアルで良かったです。死にたいと思うライ(南琴奈)の気持ちも痛いほど伝わるし、息苦しさや生きづらさが淡い映像表現と重なって、透明感のある苦しみとして響いてきます。
作中に登場する擬人化焼肉漫画「ミート・イズ・マイン」。細かいところまで作り込まれていて驚きました。正直、フル尺で見たいくらい(笑)。試写帰りに観客同士が「グッズほしい」「アクスタ出ないかな」と話していて、「わかる!わかる!」と強く共感してしまいました。
歌舞伎町のネオン、淡い色合い、水の透明感、朝焼けの空。アカデミーサイズで撮られた映像は、時折インスタントカメラの写真のように美しく切り取られていて不思議でした。そのままインスタアップのシーンへつながるのも今っぽくて、すごく“エモい”です。
それから、杉咲花さんの食事シーン。どの作品でもそうですが、彼女が食べると本当に美味しそうに見えるんですよね。今回もラーメンや焼肉がたまらなく食べたくなりました。上映後に新宿で「九州ラーメン博多っ子」や「生肉食堂」に行きたくなる人、絶対多いはず(笑)。見る予定がある人で都内住みならぜひ新宿で見てほしいです。
心に刺さるセリフの数々と、生々しい息づかい。新宿の街の熱気や雑多さ。その全部が混ざり合って、「生きる」ということの濃さを体感できる映画でした。







