映画「ボイリング・ポイント／沸騰」の試写を見て
映画「ボイリング・ポイント／沸騰」の試写を見てきました。
この作品は、イギリスの高級レストランでクリスマスに起こる様々なトラブルに見舞われる一日を描いたもの。
とにかく“90分ワンカット”の映像がすごかったです。
舞台になっているレストランの空間はそれほど広くなく狭い通路や狭い空間を抜けたり、お客さんもかなりの数入っていて画面に写っている人数がかなりいるのにもかわらずスムーズに違和感なくワンカットで撮りきっているすごさに驚きます。
カメラで抜かれている人物が適度に変わっていき、レストランの空間を広く使って動いてくので不思議なスピード感があります。
作品を見ていると、違和感のないワンカット映像に吸い込まれるように、自分自身がそのスタッフとしてはたらいているかのような感覚さえ芽生えてきました。
登場人物が意外と多いなと思ったのですが、それぞれのスタッフにまんべんなく焦点をあてていて良かった。厨房やフロア、シェフから洗い場までお客さんまで、人物のキャラクターやその人が抱えている問題や物語が積み上がっていき無駄がない構成が見事です。
スタッフ間でのナンパや、シェフが知り合いの席でのんびりお酒を飲んでいたり、スタッフの遅刻にたいしての寛容さや、立場が上の人にもガンガンに意見を主張する様など、日本ではまり無い感じも新鮮で面白かった。
また、仕事にドラッグを服用したり、お客さんが黒人スタッフに差別をする様子など、社会的な問題も取り入れられています。
評論家やインフルエンサーを気にしながらサービスを行う感じもリアルでよかった。
少しずつ歯車があわなくなり壊れていく流れがヒリヒリします。
最後の終わり方は賛否あるだろうけど、すべてをを解決してハッピーエンドへ向かうよくあるパターンじゃない結末がリアルで好きです。
面白かった。
