映画「ファルコン・レイク」の試写を見て
映画「ファルコン・レイク」の試写を見てきました。
ビジュアルポスターから想像する淡い青春映画感が、いい意味で裏切られました。
青春の甘酸っぱさと、思春期独特のモヤッとした言葉にできない“生死”の感覚、孤独感とそこ入ってくる恋と、絶妙なバランスで好きな作品でした。
よくある一夏の期間限定の淡い恋の思い出を描くストーリなんだけど、ただそれだけじゃない。
彼らの街や学生の遊び場として描かれる“湖”から溢れ出る奇妙な感じが、作品を観ている人の心を不安定にします。
16㎜フィルムで撮られていて、デジタルには無い不鮮明さがより拍車をかけているように感じました。
暗いシーンでは特にぼんやりとしており映しているものがはっきりしない映像がリンクしていきます。
主人公は14歳の少年バスティアンなんだけど、16歳のヒロインのクロエへ視点が移っていき、見てる人の感情や視点が二人を行き来するような感覚がありました。
観終わって思ったことなんですが、その不安定でフラフラと危なっかしい感情のゆらぎみたいなものが思春期の“性”そものもなんじゃないかと。
バスティアンとクロエの距離が急激に近くなるシーンにはドキドキがとまりません。
パーティー終わりにベッドで一つの布団に入りながら話すシーンや、バスタブに一緒に入り髪を洗うクロエをバスティアンで背中越しに見る妖艶さ。
服をたくし上げ胸が見えそうになるクロエを、水が苦手なバスティアンが深い湖から見る場面や、バスルームでのイケナイ体験など。
キラキラとしたものではなく、どこか艶っぽさと生っぽさを感じる青春と性の描き方が秀逸でした。
淡々としながらも、甘酸っぱさにドキドキし、思春期と幽霊、性と死が重なり混ざり合っていく今までに観たことのない青春映画。
とても好きなテイストの作品で、見れてよかったです。