映画「神様は見返りを求める」の試写を見て
映画「神様は見返りを求める」の試写を見てきました。
完成披露試写会ということもあり、ムロツヨシさん、岸井ゆきのさん、若葉竜也さん、吉村界人さん、柳俊太郎さん、吉田恵輔監督が登壇し、作品につていのお話を直接聞くことができました。
「空白」や「BLUE ブルー」などの作品を見ていて、作品を通して吉田監督のことが好きになったので映画を一足早く見ることができてとてもうれしかったです。
映画は、ムロツヨシさん演じる見返りを求める男と、岸井ゆきのさん演じる恩を仇で返す女の豹変ラブストーリーです。
素晴らしい演技
田母神（ムロツヨシ）が、優里ちゃん（岸井ゆきの）の変化や元同僚自殺によってメンタルが壊れていく様子がリアルで、同情の気持ちもおこってきます。
真面目でいい人は損をする世の中を見せつけられているようで少しつらかったです。
ムロツヨシさんの「いい人」から「やばい人」への変貌はとても見事でした。
後半のやばい人も、どこか真面目でいい人の片りんを残したような役と雰囲気を保っている感じもよかったです。
底辺YouTuberから一躍時の人に成り上がっていく人物の変化を見事に演じている岸井ゆきのさんもすごかったです。
ファッションや髪型がかわり、口調にも変化か出て自然な自信をまとう様子。
でも、その中に見え隠れする底辺YouTuberだったころの彼女の揺らぎ。
根っこにあるものは実は変わっていなくて、外側がどんどん強化し変化しているような危うさを違和感なく演じられていたように感じます。
吉田恵輔監督の先見の明
最近、暴露系YouTuberやSNSを通したいがみ合いが話題になっています。
なので、ここ1年くらいの間に企画制作された映画かと思っていたら、2年以上前に撮られた作品だそうで驚きました。
脚本も手掛けている吉田恵輔監督の先見の明すごすぎます。
舞台はYouTubeだけど、人生のどんな場面でも起こりそうな内容。
自分自身が、田母神（ムロツヨシ）のようにも優里ちゃん（岸井ゆきの）のようにもなる可能性があるなと、作品を見終わったあとにしみじみ思いました。
映画を見て
前半と後半で印象が変わっていく作品でした。
相性の良かった二人の歯車がずれはじめ、お互いの人生まで影響していく流れが怖かったです。
今っぽい題材でフィクションとは思えない妙なリアルさに引き込まれます。
主演のお二人の演技もよかったし、吉田恵輔監督の時代を切り取る感性のすごさに脱帽です。
キモカワな着ぐるみのジェイコブと優里ちゃんの末路が重なったり、自室のカメラの前や商店街で体にダンスを踊ろうとする田母神（ムロツヨシ）の姿がとても印象に残っています。
YouTubeになじみのある世代にはもちろん、あまり触れていない世代にもささる内容だと思います。
